生産を止めるな!操業しながらの建て替え工事&ブランディング

1923年創業、東京の新橋で創業した末吉ネームプレート製作所様。100周年を機に、コーポレートブランディングから始まり、新ロゴマークの作成、社屋・工場の内外装材の選定、カラーコーディネート、サイン計画など担当させて頂きました。

株式会社末吉ネームプレート製作所

1923年(大正12年)の創業以来「企業の顔であるネームプレートを通じて社会に豊かさと快適性と安全性を提供する」という企業理念をもとにネームプレートの総合メーカーとして歩んできた末吉ネームプレート製作所。創業時のエッチング銘板に始まり、アルマイト、シール、シルク印刷へと取り扱い品目を拡大し、現在に至っています。また事業領域もネームプレートを核としながら、その周辺領域である板金・機械加工・樹脂加工等へと業容を拡大し、2011年には富士通株式会社よりチタンアパタイトの特許ライセンス契約を結び、新たな抗菌分野に進出しています。

事例紹介

[建物概要]
用途:工場・事務所
構造:鉄骨造3階建て
延床面積:1,198.80㎡
竣工:2023年6月

───生産を止めるな!操業しながらの建て替え工事

「生産を止めずに工場を拡張できない?敷地内になんとか増築できない?」というお問合せは多いです。工事中に工場を止めることはできないし、敷地内をいつも通り車や人が行き交う中、どう建て替え工事を行うか?それに挑戦中なのが金属銘板の製造業・末吉ネームプレート製作所さんです。

 

 

───絶対に動かせない機械を中心に考える

まずは新工場で改善することの洗い出し。その後、新たに導入する設備をリストアップし新工場での配置を検討します。難問は長さ12mのエッチング機械。新工場プランで検討したところ、この機械が稼働できるのは現在設置されているここだけ。動かさずに工事期間中でも、いつも通り稼働させないといけません。機械には数えきれないほどの液体配管、エア配管、電気配線が繋がっています。どれか1つでも傷つけてしまうと大きな損失となるので要注意です。

 

 

───既存工場を覆ってしまうカバービルド工法

プロジェクトドライバーとして、工法・予算・スケジュール・お施主様のご要望など多方面から施工方法を検討した結果、今回は「カバービルド工法」を採用することに。簡単に言うと、一回り大きな壁を建て、完成後に内側の既存工場を解体していく方法です。敷地内にプレハブを建て、移設できる機械は移設し仮工場に。敷地内での動線計画も要検討です。

 

 

───工事工程と生産スケジュール調整も難関

お客さま・建設会社と一体となり、動線や工事工程を綿密に練りますが、リスクを最小限に抑えるため生産活動を停止する休日を中心に工事作業を振り分けます。いよいよ2022年春から着工になります。実は100周年を記念したコーポレートブランディングも進んでおり、オフィス部分には末吉ネームプレート製作所さんらしさも盛り込まれる予定。年末の完成が待ち遠しいです。

 

 

───無限大の可能性を秘めた新ロゴマーク

創業100周年を迎えるのを機に会社ロゴを刷新。創業の歴史や会社のDNA、これからどんな未来に向かっていきたいのか?などをヒアリングさせて頂き、度重なる打合せとデザイン案を経て決定しました。末吉の頭文字「S」を象りつつ、未来へ広がる無限大の可能性を表して「インフィニティーマーク」をキービジュアルに。向きを縦にすると「8(末広がりの八)」に見える遊び心も。2つの円をシンメトリーにした形状は印刷業の版をイメージしています。こちらの新ロゴマークを外観上部とエントランス横に配置しました。

 

 

───新コーポレートカラー新橋色が生える色彩計画

ネームプレート作成に使用するアルミ・真鍮・ステンレスの素材感を連想するようなシルバーカラーをベースに外観デザインをまとめました。創業の地「新橋」の新橋色のコーポレートカラーが際立ちます。コーポレートカラーを大胆に使った階段はフォトスポットとしても活用いただけます。

 

 

───会社の想いを込めた内装デザイン

金属銘板の印刷工場は普段からたくさんの色を使用するので、内装はコーポレートカラーと他の色を組み合わせて色彩豊かにまとめました。1階エントランスの階段手摺は新橋色でスッキリと。その手摺が映えるよう、壁面と踏板は無彩色(白&灰色)で構成。エントランス横にヒストリーコーナーを配置し、ゲストの目に留まるようにしました。3階のインフィニティホールは床材を曲線状に貼り分け、会社のDNA“可能性を末広がりに無限大”を表現。床材はスタッフがリラックスできるよう木目調をセレクトしました。

 

 

───ブランディング視点のサイン計画

サイン計画ではSNS発信にも役立つフォトスポットであることも視野に入れて計画。ロゴマーク前では無限大表すポーズまで指導。裏手のコーポレートカラーの階段ではスタッフのプロフィール撮影にも利用して頂けます。ブランディング、運用まで考えたトップファクトリーらしいデザインとなりました。