本社のオープンファクトリー化で若い人が働きたい会社に

岩手県北上市の土木業 株式会社小田島組。2020年には総合建設業本社ビル キタカミオーツー(産業のための建築・空間・インテリア)、施設ブランディング キタカミオーツー(ブランディング・CI/VI)でグッドデザイン賞、日経ニューオフィス賞を受賞。私たちがデザインした新本社は学びを大事にする「大学」の世界観を据え、本社機能だけでなく地域の人が自由に使えるキャンパスを設置。建設業の枠にとどまらない、新しい企業と地域のプラットフォームを創出しました。近年では新卒20名を超える採用を続けています。

株式会社小田島組

昭和 45 年に岩手県北上で創業。公共事業(道路改良工事、舗装工事、防潮堤工事、法面工事)とIT 関連事業を扱い「スコップとパソコンを使える社員の育成と、顧客満足を第一とした仕事を行うこと!」がモットーの土木業。2020年グッドデザイン賞三冠、日経ニューオフィス賞受賞。

本社移転を機に製造業ではないものの、本社そのものを公開し、見学を受け入れるオープンファクトリー化を実施。経営者の考え、取り組み、採用のハウなど広く同業に公開しており、企業・学生など全国から年間400 名の視察者を迎えている。一般開放型のオープンな空間と、常に何かが動いているアクティブな情報発信など、場と活動が一体化している本社デザインです。

事例紹介

───大学のようなキャンパスがある本社

廃業したゲームセンターをリノベーションした本社。若いスタッフが多く、学びを大切にしてることから「大学」を世界観に据えました。大学を象徴する「キャンパス」を社内に作り、学生、地域の人も気軽に利用できるサードプレイスを目指しました。打ち合わせで使うほか、イベント利用、地元高校生の自習スペース、コロナ禍では休校になった子供を持つ親スタッフが子を連れて出社。お子様のプレイルームとしても大活躍し、多目的に活力ある施設を象徴するスペースとなりました。

 

───お客様をお迎えるするエントランスにはメッセージを

お客様の第一印象は外観。そして次にエントランスです。おお!と感動&思わず写真を撮りたくなるデザインや仕掛けもSNS時代では重要です。工場床に引かれるラインをヒントに、こちらではエントランス床に歓迎のメッセージをデザインしました。お帰りの際はSEE YOUのメッセージ。工場の要素をこんなところにも取り込みました。

 

───作業着ではなく気分と士気が上がるおそろいのユニフォーム

建設業も製造業と同じく「作業着」が必須。しかし毎日現場に行くことがない内勤スタッフにおいても、移転前は全員作業着を着用していた小田島組。移転を機に、内勤用ユニフォームを一新しました。大学の世界観に合わせて、オリジナルカレッジTシャツをデザイン。キャンパスでのイベント、採用活動では特にも好評で、中にはわざわざ購入していく人も!オープンファクトリー化で会社の「ファン」が増えている証拠です。

 

───スタッフ働く姿を見せることもオープンファクトリー

製品・サービスの裏側やできる過程を見せるのがオープンファクトリーですが、もう一つ見せるべきものがあります。それは「スタッフ」です。「どんな人が作っているのか?」「案内してくれた人が印象が良かった」それだけでゲストは「いい会社だったな」とファンになります。可能な限り全てをご案内、見られてもOKな状態にしておくことはファンづくりの第一歩です。

 

───移転というビッグニュースはPRに活用し倒すべし

設備投資情報を隠したい方もいらっしゃいますが、トップファクトリーではその過程を公開し会社のPRに最大活用することをお勧めしています。「プロセスエコノミー」とう途中過程を発信し、収益につなげる考え方はクラウドファンディングが一般化した今では当たり前になってきました。製造業の場合は当然自社の製品PRにもなりますし、建設業でも会社のPRとしては最高のネタ。こんなところで働きたい!と採用活動でも大きな効果を発揮します。

 

───オープンファクトリーではお披露目が大事

作って終わりじゃない。建物の完成は企業活動のスタートにすぎません。経営者にとって、新社屋に込めた想いを社内外に発信する最高の舞台がお披露目。「新しい」と言われるのはせいぜい半年。初速を大事にしたいなら、お披露目イベントをタイムリーに行うことが大切です。社員とその家族、プレオープン、グランドオープンと全3回に分けて行ったお披露目では全国から200名を超えるゲストが参加。中には北上市長も!地域、全国と注目を集める新施設の幕開けとなりました。